特別委員会  
<総括審査>  
 
財政運営について
   
(1) 今後の財政運営について
   
(2) 投資事業について
   
病院事業の経営について
 
がん対策の推進について
 
児童虐待防止対策と社会復帰支援について
   
社会情勢に対応した経済・雇用対策について
   
地域農業の担い手育成について
   
兵庫らしい豊かな教育への取り組みについて
   
 
(1) 震災・学校支援チーム「EARTH」について
   
(2) 改正教育職員免許法の本格実施に向けた取り組みについて
   
県警本部長の現場重視の姿勢と施策への反映について
   
最後に
 

Q

1 財政運営について 
 (1) 今後の財政運営について
 
今年度から、新たな行財政構造改革への取り組みが始まりましたが、今定例会においては、10月6日に、今後11年間の改革の礎となり、兵庫の将来を決める「行財政構造改革推進方策」が可決しました。

 しかし、本県の行革への取り組みと歩調を合わせるかのように、原油・原材料価格の高騰や、アメリカ発の金融不安などによって、景気の後退が一段と鮮明になり、内閣府が発表した4月から6月期のGDPの速報値でも、年率換算でマイナス3%となっています。

 このような景気の後退を裏付けるように、本県では、法人事業税、個人事業税の配当割が激しく落ち込み、当初予算の税収確保が厳しい情勢となるなど、兵庫の再生元年は厳しいスタートとなることも見込まれます。

  本県の平成19年度決算は、一般会計の実質収支はかろうじて黒字を確保したものの、黒字額は過去最小となり、経常収支比率は前年度より7.1ポイント悪化し、統計を取り始めて以降、初めて100%の大台となる103.5%となり財政の硬直化が一層深刻な状況になっています。

  決算で明らかになった経常収支比率や、実質公債費比率をはじめとする財政指標等については、新行革プランにおける財政フレームに既に織り込み済みではありますが、景気の後退に伴う一層の税収の落ち込み、経済対策など新たな財政需要への対応、地方分権改革の動向など、今後の財政運営には、歳入・歳出の両面で多くの不確定要素を抱えています。

 このたびの改革では、歳入・歳出改革と特別な財源対策によって、今後11年間に生じる財源不足1兆1,980億円の解消と新規施策財源300億円を確保し、一般財源総額で1兆2,280億円の効果額を見込んでいますが、今後の景気動向によっては、この財政フレームが果たして見込みどおり達成できるかどうか不安を感じます。

 とりわけ、この300億円の新規施策財源は、財政の硬直化が著しい中、各種の事務事業の見直しによって痛みを求めた県民のための施策に充当する貴重な財源として、何としても確保しなければならず、今後、財政フレームの見直しによって、県民や厳しい財政状況にあえいでいる市町にこれ以上の痛みや負担を求めることはできません。

 先の本会議で我が会派の黒田議員が行った代表質問に対し、知事は、「改革元年である平成20年度予算編成にあたっては、これまでの震災復旧・復興の全方位型から、21世紀の課題対応型へと転換し」、「新しい兵庫づくりに向けたスタートを切ることができた」旨の答弁をされました。

 そこで、景気の後退局面を迎える中で、新行革プランに示された財政フレームが維持できるのか、人口減少社会や少子高齢化など21世紀の課題を踏まえた今後の財政運営の方針について、知事の考え方をお伺いします。

A

(答弁:井戸知事)

  今回の行財政構造改革は、ご指摘のように、少子高齢化、あるいは人口減少社会においても県政が県民の要請にこたえられる、そのような県政を実現するための基本枠組みをつくろうというのが目的であったと考えている。

 そのような意味でも、財政フレームを基本的に維持しながら、経済状況の変化や県民のニーズの動向等を踏まえながら、機動的な施策展開を図っていく必要があると、このように基本認識しているところである。

  ご指摘のように、本年度の状況においても、法人関係税の落ち込みがかなりあると見込まれているし、先ほども黒川議員にご答弁したように、総理も全治3年とおっしゃっておられるような経済停滞が懸念されている。そのような枠の中で、新行革フレームで一番何が変動要因になり得るかというと、やはり税収の動向であると思っている 。

 ただ、今回のフレームでは、税収が落ち込むと、本来地方交付税が増加するという基本システムであるので、この基本システムを前提にして積算しているが、ただ、補償されるのは4分の3で、4分の1分は交付税で補てんされない。したがって、その部分が積み上がってくるとかなり大きな影響を与える可能性がある。

 ただ、全国的な景気停滞に伴う財政状況の厳しさになろうかと思うので、これは年末以降の国の予算や地方財政計画を見てみないとはっきりしないが、過去の地方財政計画の策定過程を見ても、かなり大胆な対策がとられてきているので、その辺を見きわめながら来年度予算編成等に当たっていきたいと考えている。

 そして、いずれにしても、新行革プランのフレームについては、それを基本的に守りながら、しかし単年度では守れないことも出てくるかもしれないが、中長期的には維持していく、それを基本姿勢として運営をしていくことが、私どもに課せられた、議決までいただいた新行革プランの遂行に当たっての基本姿勢であると考えているところであるので、今後ともよろしくご指導いただきたい。

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Q

(2) 投資事業について

 投資事業は、県民の安全・安心の確保、県民生活の質的向上、交流連携の推進といった役割がある一方で、過度な投資事業は県債の発行により借金を背負い、県財政を悪化へと導くことにつながることから、この両者をバランスよく保っていくことが重要です。

 我が会派では、今年の8月に投資事業に係る実態を検証するため、篠山市の「みくまりダム」、「西紀ダム」の調査を行いましたが、いずれも50億円を超える事業費を要し、公共事業等審査会の審査を経て、再評価、再々評価が行われており、特に「西紀ダム」については、平成6年度に事業採択されたものの進捗が遅く、社会経済情勢の動きに対応した事業とは考えにくいと思われます。

 篠山市のダムを一例として取り上げましたが、公共事業等の評価は、投資事業の必要性や効果などを適切に評価することによって、投資効果を高めることだと考えますが、これまで公共事業等審査会などの報告どおりに多くの事業を実施してきた結果が、財政悪化の一因であると言わざるを得ません。

 また、本県の投資事業が高い水準にあったことは、平成19年度決算の概要が公表になって初めて明らかとなった将来負担比率と、それに占める県債実残高の割合や金額を見ても明らかであり、投資事業の実施に伴って、毎年、多額の維持管理費も発生します。限られた財源の中で、投資事業を効率的、効果的に実施していくには、今まで以上に選択と集中を徹底していかなければなりません。

 県には、公共事業等審査会のほかに、総合事業等審査会、各部審査会が設置されていますが、今後、さらに事業評価、取得用地の価格などの決定に至るプロセスの厳格化を図り、費用対効果の検証を行うとともに、予算の使途や事業の実施過程での透明性を確保し、説明責任を果たしていくことが重要です。

 投資事業については、「財政の状況について」、農政環境部及び県土整備部の審査の際、我が会派から重ねて質問を行ったところですが、県下各地域で新規事業の採択が多く望まれる中、今後、県では、費用対効果の検証と事業の透明性の確保にどのように取り組んでいくのか、改めて当局の具体的な考え方を伺います。

A

(答弁:井戸知事)

  ご指摘のように、投資事業については、阪神・淡路大震災からの創造的復興をめざして努力をしてきたため、全国の動向に比べてかなり高い水準で推移してきた。

  平成2、3年度の中間の数字を100とした場合、平成19年度決算の投資は、全国平均は57であるのに対し、本県は87ということで、約1.5倍、5割高の水準にある。

 震災復興事業が一段落した現在においては、この水準を維持するよりも、財政再建をめざすという意味で、新行革プランに基づいて、地域経済への影響も考慮しながら、投資事業の水準を60%程度にしていこう、しかも5年程度時間をかけてしていこうということで、フレームをつくらせていただいたところである。

  この枠の中で県民の安全と安心の確保、多彩な交流の促進など、いまだ十分とは言えない社会資本整備を選択と集中により進めていく所存である。

 ご指摘のように、事業選定は優先順位をどうつけていくかということが非常に重要になる。したがって、外部の有識者で構成する公共事業等審査会、あるいは総合事業等審査会により、費用対効果や必要性、有効性・効率性、環境適合性などについて適切な評価をいただき、その過程や問題点についても公表させていただいている。そのような意味では、事業の透明性を確保しようと努めているところである。

 これまで、八鹿ダムとか丹南ダムなど9事業について、休止とか中止の評価を行ってきたし、審査過程でいただいた留意事項、例えば物価に留意しろとか事業促進をもっと図れとかというような留意事項についても、事業に反映することにしてきている。農道整備などでは1.5車線化によるコスト縮減などにも取り組んできた。

 今後は、事業評価の厳格な運用を行っていくのはもとよりであるが、既に完了した事業が当初想定した効果を上げているかどうかという意味での事後評価も行っていきたいと考えている。

 加えて、費用対効果の算出方法は実態に即しているのかどうかとか、ライフサイクルコストを含めた場合の事業コストがいかがだろうか、あるいは異なる事業や種別間の優先順位を評価する評価手法などについて検討を進めていく。

 今後とも、限られた枠組みの中での社会資本整備の促進をどのように図っていくか、そしてしかもそのサービスを受けられる地域の方々の要望にもどうこたえていくか、この二つの均衡を図りながら計画的に整備を進めていく所存であるので、よろしくご指導をいただきたい。

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Q

2 病院事業の経営について

 医は算術にあらず仁術という緒方洪庵の言葉がありますが、病院事業の厳しい実態に鑑み、質問をさせていただきます。

 平成14年4月に、病院事業が地方公営企業法の全部適用を行ってから6年を経過しましたが、この間、「病院構造改革推進方策」や「県立病院の基本的方向」を策定するなど、病院事業全般にわたる抜本的な改革を行ってこられました。

  それにもかかわらず、本県の病院事業会計は、昭和54年度から29年間連続で赤字経営が続き、平成19年度決算では、累積赤字は約768億円に膨れあがっています。

 病院事業の経営がここまで厳しい主な要因として、平成14年度以降、4回連続して診療報酬改定がマイナスとなり、新医師臨床研修制度に端を発した医師不足の影響等による入院患者数や外来患者数の減少傾向によることなどが挙げられますが、果たしてこのままで、「より良質な医療の提供」、「安心してかかれる県立病院の実現」、「自立した経営の確保」という病院事業の基本理念や、持続可能な健全経営が実現できるのか、危機感すら感じます。

 県下の公立・公的病院が赤字経営に苦しみ、休診する診療科が相次ぎ、神戸市・高砂市・香美町では、特例債の申請もなされている状況の中、県民に身近で安全・安心な医療の拠点として、県立病院への県民の期待はより一層高まっていると思われます。

 病院事業の経営が厳しい中にあっても、昨年度には、小児科救急や精神科救急、高度専門・特殊医療の充実に努め、診療単価の向上対策や、各種のコスト縮減対策を講じるなど、ソフト・ハード両面でさまざまな努力を重ねておられることは理解をいたします。

 しかし、このような内部努力には一定の限界もあり、病院事業の慢性的な赤字体質を考えれば、新行革プランに掲げた平成28年度に病院事業全体での当期純損益の黒字化は、果たして実現できるのかという疑問を感じます。

 県全体が厳しい行革に取り組む中で、病院事業の経営が一層悪化すれば、資金不足比率のみならず、連結実質赤字比率といった財政指標や、新行革プランに掲げた財政フレームへの影響など県財政の信頼度にも大きな影響を与えることになります。

  平成19年度決算を見る限りでは、内部留保資金も枯渇するなど、果たしてこのままで来年度の予算編成ができるのかとさえ感じますが、今後の病院事業に必要な資金をどのように確保していくかは喫緊の課題と思われます。

 そこで、病院事業における今後の経営資金の確保対策とともに、病院事業全体の平成28年度における当期純損益の黒字化に向けた具体的な取り組みについて、所見を伺います。

A

(答弁:黒田病院事業管理者)

 県立病院の経営状況は、委員ご指摘のように、平成14年度以降のたび重なる診療報酬のマイナス改定、さらには医師不足により赤字額が拡大していたが、平成19年度は前年度よりも改善した。それは、7対1看護基準の取得による努力もあるが、前年度よりも19億円改善し、45億円となった。20年度においても引き続きさらなる赤字額の縮小をめざして、現在鋭意取り組んでいるところである。

 このような中、収益面では、独自の医師養成や魅力ある環境の整備など多様な医師確保対策、建てかえ整備などによる診療機能の進展、地域医療連携による患者の確保、診療報酬への適切な対応など、こういったことを強化する一方、費用では、嘱託化あるいは委託化による定数削減、給料表の見直しや給料月額の減額等による給与費の抑制、スケールメリットを発揮した価格交渉、長期契約や委託仕様見直し等による材料費や経費の縮減など、徹底した費用抑制を図り、平成28年度の黒字化に向けた経営改善に努めていく。

 なお、こうした経営改善により内部留保資金を生み出すこととしているが、これに加え、一部退職手当債の活用や建てかえ整備に伴う一般会計長期借入金の措置など、こういったことにより全体として経営資金を確保していくこととしている。

 今後、病院ごとの具体的目標や取り組み内容等を明確にし、外部委員等による進捗状況の評価や点検などを受けながら、職員が一丸となって平成28年度の黒字化を達成し、県民に対する良質な医療を提供していきたいと考えている。

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Q

3 がん対策の推進について

 本県のがんによる死亡者数は、昭和53年に脳卒中を抜き、死亡原因の第1位となりましたが、その後も増加の一途をたどり、現在、死亡者の3人に1人ががんで亡くなっているという現状にあります。

 本県では、全国に先駆けて「ひょうご対がん戦略」を策定し、がん征圧に向けた総合的な施策展開を行い、さらに、「新ひょうご対がん戦略」では、「働き盛りのがん対策の推進とがん患者のQOLの向上」を重点に置き、計画的に施策を推進してこられました。

 また、県立がんセンターでは、PET−CTによる精度の高い診断と手術や、放射線療法、化学療法による高度な集学的治療、県立粒子線医療センターでは、陽子線と炭素線治療の一般診療の開始など最先端の治療に取り組むなど、県立病院においても、がん医療の高度化に取り組んでこられた経緯があります。

 このような取り組みにもかかわらず、本県の人口10万人当たりのがんによる年齢調整死亡率は、平成17年現在、男性で12.9、女性で3.2ポイント全国値を上回っており、特に、肝がん、肺がんは高い数値を示しています。

 こうした中、本年2月に、「がんによる死亡者の減少」に加え、「がんに罹患しても元気で安心して生活できる社会の構築」を全体目標に掲げた「第3次ひょうご対がん戦略」が、「がん対策基本法」に基づく「兵庫がん対策推進計画」として策定されました。

 この計画では、例えば、がん検診受診率については、「5年以内に50%以上」、緩和ケアの普及では、「5年以内にすべてのがん診療に携わる医師が研修等により、緩和ケアについての基本的な知識を習得する」、さらに、「地域における在宅ターミナルケアネットワークの構築を図ることにより、県下に在宅ターミナルケアチームを300箇所構築し、がん患者の在宅看取り率を5年以内に8%から12%以上に拡大する」、などの個別目標が示されています。

 しかし、平成17年度に県下市町が実施したがん検診の受診率は、最も低い乳がんが10.2%で、最も高い肺がんでも22.6%となっており、また、緩和ケアに関する研修を実施できる県内の医師は数人という現状で、さらに、平成19年度に支援を行った県下の在宅ターミナルケアチームは、年計画の50に対して40チームと伺っています。

 「兵庫がん対策推進計画」に掲げる個別目標のうち、検診受診率と緩和ケアについて取り上げましたが、この二つの個別目標を見る限り、現状と目標の乖離が大きく、果たして計画期間である5年以内の達成が可能なのか、達成には課題も多くハードルは高いものと思われます。

 計画に掲げた目標を達成するためには、「がん診療連携拠点病院」と地域の医療機関との連携や、在宅ターミナルケアチームとの連携、さらに県立新加古川病院の緩和医療の充実などをより一層進めていく必要があると考えますが、「兵庫がん対策推進計画」実施の現状と課題、目標達成に向けた今後の取り組みについてお伺いします。

A

(答弁:細川健康福祉部長)

 本年2月に策定した「兵庫県がん対策推進計画」では、二つの全体目標と5年以内に期限を設定している15の個別目標の達成に向けて、平成20年度を初年度として実施している。

 計画の個別目標のうち、がん検診受診率については、平成16年度の国民生活基礎調査―これは3年ごとの実施になっているが―の統計数値をベースにしている。ご指摘の市町がん検診の受診率の向上が国調査の受診率に寄与することから、県として国保調整交付金による市町の取り組みの支援、がん検診受診率が低い11市町に対して重点市町として指定し、受診率向上計画の策定指導を行い、また医療保険者に対してはがん検診の実施指導を行うことにしている。

 緩和ケア従事医師の研修については、研修指導者34名―これは国の研修が8名、県の研修が26名既に受けている―を養成している。毎年度、この方々が核となって研修を実施していくという方式により、また在宅ターミナルケアチームづくりの達成率は19年度は8割であるが、今後、計画的に支援することにより、それぞれの計画の達成は可能と見ている。

 その他の個別目標については、計画期間内に達成する見込みが相談支援センターの設置や地域連携クリティカルパスの整備等9項目、達成に向けた取り組みを強化する必要があると考えているものが喫煙率の減少等3目標である。今後、市町やがん診療連携拠点病院、医師会、がん患者会等と協働し、がん対策を総合的に推進していきたいと考えている。

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Q

4 児童虐待防止対策と社会復帰支援について

 児童虐待は子どもへの人権侵害であり、時には生命をも脅かし、子どもたちの心に深い傷を残すなど、人格形成にも大きな影響を与えることになります。また、幼少期に受けた不適切な扱いや心理的な外傷によって、人格や知的発達の阻害、さらに情緒や行動面にも深刻な影響を及ぼし、非行、不登校、引きこもり、思春期以降に現れる精神疾患などの様々な社会的不適応行動の原因につながるとの指摘もあります。

 本県では、平成13年に発生した尼崎市での虐待死亡事件を契機として、児童虐待防止専門家会議の設置や、その提言に基づいた「児童虐待防止プログラム」を策定し、専門職員の増強、こども家庭センターへの「児童虐待24時間ホットラインの設置」など、児童虐待防止のための体制整備に努めてこられました。

 しかし、平成19年度に、県内のこども家庭センターに寄せられた児童虐待の相談件数は、1,351件で、前年度から18件減少したものの統計数値をとり始めた平成2年度以降では2番目に多い数値となり、依然として高い水準に止まっています。また、平成17年度から通告先に追加された市町が受け付けた昨年度の相談件数は、2,719件となり、県と市町に寄せられた相談件数の合計は、初めて4千件を超えたという結果も出ています。

 平成16年の児童虐待防止法改正では、虐待の早期発見に向けた改正が行われましたが、児童虐待については、早期発見、迅速対応に加え、被虐待児童への心のケア、再発防止のための親のカウンセリング、育児ストレス等により虐待寸前の親への支援など、課題は山積しています。

 また、社会保障審議会児童部会が昨年末に公表した報告書では、虐待を受けた子どもなど要保護児童の増加によって我が国の社会的養護は大きな転換期を迎えており、現行の体制では十分に対応できず「量・質」両面での拡充を求める提言を行っています。

 県下のこども家庭センターの現状は、児童虐待だけでなく非行や不登校の相談など職員は多くの案件を抱え、親へのケアまで手が回らず、さらに、社会保障審議会の報告書が見直しを求めている自立援助ホームについては、国の施設整備補助がないために本県でも事業実施に至っていないと聞いています。

 本県では、これまで児童虐待に対して各般の施策を実施するとともに、今年4月には、第2次児童虐待防止プログラムを策定するなど、児童虐待防止に向けた取り組みを推進してこられましたが、増加傾向にある虐待の現状や課題についての認識とともに、今後、児童の健全な育成のために、どのようにして児童虐待の予防と防止対策を講じ、また、被虐待児の社会復帰への支援にどのように取り組んでいくのか、併せてお伺いします。

A

(答弁:井戸知事)

 今回の伊丹市の児童虐待死事件は、こども家庭センターが指導中に発生したものでありますだけに、結果として子どもの命が救えなかったということを本当に残念に思っております。これまでの県としての対応が十分だったかどうか、検証して再発防止に取り組んでまいります。

 児童虐待の課題ですが、1つは家庭の密室性、なかなか家庭に立ち入れないということがあり、発見がなかなか難しいということが1つ、2つめはその地域でもなかなか連携・情報が入ってない孤立した家庭での発生が多いということ、3番目には虐待された児童のケア、再発防止のための親の指導が直ちには効果が上げにくいということなどが挙げられています。したがいまして、予防から家庭支援に至るまで幅広い対応が必要となるケースが多いものであります。

 児童虐待防止プログラムを深めまして、児童虐待の早期発見のために全戸訪問によるハイリスク家庭の把握や相談をしたり、あるいは「まちの子育てひろば」や保育所・幼稚園におきます「乳幼児子育て応援事業」等の仲間づくりを実施したり、地域の「子育て応援ネット」による親子を孤立させない地域全体の見守り等を実施しているところでありますが、またこれからもこれらの事業を充実していきたいと考えています。

  また、社会復帰の支援ですが、児童養護施設におきまして個々の子どもに応じた自立支援計画を作りまして、就労や職場の対人関係を支援したり、金銭の管理や食事など日常生活の指導を行っており、退所後は、孤立しないように施設が定期的に連絡を取り、必要に応じて相談を行うなどの指導を積み重ねているところです。

  今回の事案でも、地域の婦人会などで作っていただいております「子育て応援ネット」など地域ぐるみの見守りが非常に重要であり、関係者からの連絡によりまして、3人の子どもさんを一時保護している状況です。

 いずれに致しましても、早期発見が非常に重要でありますので、学校や病院等を含めました連携のもとに関係機関と地域が一体になって虐待防止に努めてまいるように今後も努力してまいりますので、よろしく指導お願いします。


(越智委員発言)

 児童虐待は非常に難しい問題だと思うし、やはり第一は家庭の問題もあると思う。それを含む社会的な問題もあるわけですが、これを本当にゼロにもっていくのは難しいとは思うが、自立援助ホームについて、制度上、国の補助がないということであっても、本県において児童虐待が増えている現状を踏まえて、自立援助ホームについても、考えていただきたいということを提案しておきたいと思う。

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Q

5 社会情勢に対応した経済・雇用対策について

 我が国経済は、2002年から景気回復局面に入り、緩やかな回復を続けていましたが、原油・原材料価格の高騰や、アメリカ発の金融不安が深刻さを増し、今月に入り、8日には本県に地盤を置く中堅ゼネコンが、10日には中堅生命保険会社が破綻するなど、景気の減速によって、今後、日本経済は非常に難しい舵取りを要求される状況になっています。

 県下の状況に目を向けますと、日銀神戸支店が発表した9月の短観では、企業の景況感を示す業況判断指数が県内の全産業でマイナスとなり、6月の前回調査から4ポイント低下しているという結果が出ており、雇用面では、8月の有効求人倍率が0.74と前月を下回っています。

 このように景気の後退とともに、雇用情勢の悪化が一層鮮明になっていますが、我が国では、1990年代後半以降、長期不況とグローバルな競争の激化を背景に、企業のリストラや新規採用の抑制によって、雇用の非正規労働者への大幅な置き換えが進められ、非正規労働者が安上がりの労働者として企業に採用された結果、非正規雇用は増え続け、ワーキングプアと呼ばれる労働者の存在も指摘されるなど、今日では、正規労働者との所得格差が放置できないところまで拡大しており、このような傾向は本県においても例外ではありません。

 また、若者の雇用に関しては、フリーターの数は減少傾向にあるものの、就職氷河期に適切な就業機会を得られなかった若年層、いわゆる年長フリーターが十分なキャリアを形成できないまま30歳代後半にさしかかっています。

 本県では、政労使の三者合意という先導的な取り組みがなされていますが、人口減少社会という社会情勢に加え、経済・雇用情勢が悪化する今日においては、ワーク・ライフ・バランスの体制づくりが重要かつ喫緊の課題であり、ワーク・ライフ・バランスの体制づくりは、労働者のキャリアアップとともに、企業の社会的評価を高め、企業の生産性向上にも寄与するものと考えます。

 県が策定した「ひょうご経済・雇用活性化プログラム」では、その基本方向として、兵庫経済の持続的な成長を図ることにより新たな需要を創出し、多様で安定した雇用就業の実現を目指していますが、「ひょうご経済・雇用活性化推進会議」での検討も踏まえ、県として、どのように昨今の人口減少社会や経済・雇用情勢に対応した経済・雇用対策を講じていくのか、所見を伺います。

A

(答弁:中村産業労働部長)

 本県経済は、ご指摘のとおり、世界的な金融不安などに伴う先行き不透明感が増しており、雇用情勢も弱含みで推移をしている状況である。こうした中で、産業の振興を通じた安定した雇用の確保が一層求められていることから、経済・雇用情勢等の変化に対応して的確に緊急経済対策を講じるとともに、人口減少社会も見据えて、本県経済の力を着実に向上させ、兵庫の未来を切り開いていく必要があると考えている。

 現在、「ひょうご経済・雇用活性化推進会議」では、次のような4点、すなわち第1に、次世代を担う成長産業を生み・育てる先端技術研究開発の促進、第2に、すぐれた技術やサービスなどで競争を勝ち抜く付加価値の高いビジネスモデルの構築、第3に、産業活動や県内消費を活性化する県内への投資の促進及び県内外との交流の拡大、そして第4に、仕事への意欲と高い能力で現場の力を強める多様な産業人材の確保、こうした四つの観点から施策提言に向けた検討が行われているところである。

 この検討も踏まえて、次世代スーパーコンピューターなどの先端研究基盤の整備や利用の促進、あるいは産学官連携や地域資源の活用などによる地場産業の振興や新事業の創出、そして観光ツーリズムや国際交流を通じた地域の魅力の創出・発信などに取り組むとともに、地域の中小企業を支える人材の確保・育成、仕事と生活のバランスなどを通じた働きやすい環境の創出、フリーターや非正規社員などへのキャリアアップ支援、あるいは企業とのマッチングの促進などに積極的に取り組み、本県経済の一層の活性化と発展につなげていきたいと考えている。

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Q

6 地域農業の担い手育成について

 近年、我が国の農業は、農業就業人口の減少、高齢化や後継者不足といった構造的問題を抱え、農村の過疎化、遊休農地が急増しており、また、安価な輸入農産物の攻勢にさらされるなど、農業経営は極めて不安定な状況にあります。

 本県が平成18年3月に策定した「農林水産ビジョン2015」では、効率的かつ安定的な農業経営をめざす農業者や集落営農組織等による地域営農活動への支援などを通じて、産業としての農業の担い手を育成するために、数値目標を定めて施設展開を行っています。

 部局審査で、我が会派の永富委員が行った質問に対し、平成19年度末の認定農業者は2,321経営体、集落営農組織は825集落で育成され、概ね計画どおりに進んでいるとの答弁がありました。

 これは、昨年度から、米、麦、大豆の生産について対象者を担い手に絞り込んだ、いわゆる所得補償制度が導入された影響が大きいのではないかと思われますが、県下には、このような国の制度の対象になりにくい中山間地域の小規模な集落や、意欲のある小規模農家も多数存在しています。

 農業は、地域ごとの気象や土壌など自然条件に大きく左右されることから、適地適作を基本として、地域条件に配慮した施策を構築することも重要であり、さらに、家族経営、集落営農、法人経営等多様な主体の中には、それぞれ異なる条件の下で、大規模効率化を目指す者もいれば、規模が小さくても加工や販売等に取り組むことによって特色のある経営を展開しようとする者もいるということを十分に理解することが必要です。

 規模拡大や効率化、あるいは集落営農組織化を推進することについて否定はいたしませんが、一定規模以上の大規模効率経営や法人化も視野に入れた集落営農が唯一の施策であるかのように誘導するのではなく、それぞれの現場の主体的判断を尊重して多様な取り組みを支援していくことも求められます。

 このような多様な取り組みを支援することによって、食料自給率の向上、安全・安心な食料の安定供給にもつながっていくのではないかと思われます。

 農業の担い手を育成するためには、認定農業者や集落営農組織の育成に加え、地域の多様な農業従事者の実態を踏まえた取り組みへの支援が必要と考えますが、新行革プランに示された「地域普及所」の役割も含め、所見を伺います。

A

(答弁:五百蔵副知事)

 食料生産において中核的役割を担う土地利用型の農業の持続的発展を図るために、認定農業者はもとより、小規模兼業農家が多い本県の特性を踏まえ、これら農家が参加できる集落営農組織の育成が大切だと考えて、集落営農組織の育成に取り組んできたところである。

 畦畔や水路等の生産基盤の維持管理に係る共同活動を支援する「農地・水・環境保全向上対策」を積極的に活用するとともに、集落営農推進員や活性化塾の開催等により、ご指摘いただいた一定の成果を上げてきたところでもある。

 一方、地域農業の発展と活性化のために、ご質問のとおり、小規模農家や女性・高齢者の能力を活用することが極めて重要であるので、新品種・新技術の開発と普及、農業施設や機械等の整備への支援、さらには多可町の「マイスター工房八千代」で行われている農産加工品の開発・販売の取り組み、さらには神戸市西区の「六甲のめぐみ」に代表される少量多品目の農産物の出荷を行うところの直売所の設置・運営への支援などを行っているところである。

 この中で、来年度から地域普及所を設置し、JAとの連携のもとで現地指導業務や相談業務の拠点として活用を図ることとしているところであるが、農業の担い手の現場に根差した要請に的確にこたえることを基本として、その機能を十分に発揮させる中で、今後、加工や直売などそれぞれの地域の特性を生かしたさまざまな取り組みを後押しして、多様な担い手の農業活動への支援を強化していきたいと考えているので、よろしくお願い申し上げる。

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Q

7 兵庫らしい豊かな教育への取り組みについて
 (1) 震災・学校支援チーム「EARTH」について

 震災・学校支援チーム「EARTH」は、阪神・淡路大震災に際して、全国の教育関係者から本県の学校教育再開に向けて受けた支援に応え、大震災における貴重な教訓、経験を他府県等の被災地の教育復興に活かすため、県内の教職員らによって平成12年4月に創設され、現在、148人のメンバーで活動を行っています。

 EARTHは、県内外において災害が発生した場合に、その要請に基づき、被災地に駆けつけ「学校教育応急対策と教育活動の早期再開」、「児童生徒の心のケア」、「学校における避難所運営」を行い、平時には、「防災教育の研修会での指導助言」や「各学校の防災教育の推進」に取り組むなど、防災に関する専門知識と実践的能力を備えたメンバーが積極的に活動を行っており、台風23号や新潟中越地震、スマトラ島沖地震など国内外を問わず精力的に支援を実施してきました。

  このようなEARTHの活動に対して、去る9月2日に、防災功労者内閣総理大臣表彰が贈呈され、EARTHの運営委員会会長を務める吉本教育長も総理大臣官邸での表彰式に出席されたと伺っていますが、これまでのEARTHのどのような取り組みが評価され、今後、どのような活動を期待しているのか、教育長に受彰の感想も含め、お伺いします。

A

 1.このたびの内閣総理大臣表彰は、防災活動、防災教育などに顕著な功績がある団体・個人に対して贈られる、国内最高位の表彰でありまして、震災・学校支援チームEARTHがこれを受賞したことは大変栄誉なことだと受けとめている。

 2.EARTHは、阪神・淡路大震災の教訓を生かし、災害時には、被災地の学校における避難所運営支援や児童生徒の心のケアなど、教育の復興支援にあたりますとともに、平常時には、県内外の学校における防災教育の指導助言や、地域と連携した防災体制の強化に取り組むなどの活動を行っておりまして、このような継続的な取組の積み重ねが評価されたものと認識しております。

 3.震災から13年が経過し、まちの復興とともに震災の記憶の風化が懸念される中、県教育委員会といたしましては、震災の経験や教訓を生かし、次代に語り継ぐ兵庫の防災教育を推進しているところであります。EARTHとしましても、この受賞を機に、訓練・研修の内容を一層充実し、防災に関する実践的な能力の向上に努め、災害時や平常時における実践力の充実を図りますとともに、学校の防災体制づくりの指導的な役割を果たしますなど、引き続き兵庫の防災教育を担う主要なメンバーとしての役割を果たして参りたいと考えております。

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Q

(2) 改正教育職員免許法の本格実施に向けた取り組みについて

 昨年6月に改正教員免許法が成立し、来年4月から教員免許更新制度が導入されることになりました。

 国会では、採択にあたり、「多様な講習内容・講習方法の中から受講者が選択できるような工夫を講じること」や、「現職研修と免許状更新講習との整合性の確保、特に十年経験者研修のあり方について検討すること」などの附帯決議が付されましたが、制度設計や具体的内容が示されないままに見切り発車となりました。

 今年度は、全国各地で本格実施に向けた予備講習が実施されていますが、受講する教員や講座を設定する大学側も手探り状態であり、また、兵庫における予備講習受講者からは、受講してよかったという感想も目立つものの、この制度そのものの未整備な点・疑問点も数多く聞かれます。

 また、本県では、9つの大学・法人が予備講習を実施しましたが、養護教諭・幼稚園教諭に対する専門講座が少ないとの感もあり、教員の意欲や専門性向上につながる講座開設のためには、県内大学等が多数参画することが重要であり、夏休み中とはいえ、多忙な教員への日程面での配慮も必要と考えます。

 制度そのものの問題点については、国において対応、解決していくべき部分が大きいことは認識していますが、兵庫の教育にとって、より良い制度、即ち、ひょうごの未来を担う子どもたちを教育する現場の教員の資質・能力の保持、向上につながる制度となるよう、県下全体の関係機関で取り組むことが必要ではないかと考えます。

 そのためには、県教育委員会としても、大学任せにするのではなく、教員に必要な最新知識や技能を身につけてもらえるよう、関係機関の窓口として積極的に取り組んでいくべきであると考えます。

  そこで、県教育委員会では、今年度に実施した予備講習の結果、問題点や課題をどのように認識し、来年4月の教員免許更新制度の本格実施に向けてどのように取り組んでいくのか、所見をお伺いします。

A

(答弁:吉本教育長)

 教育委員会では、平成21年度からの教員免許更新制の本格実施に向けて、対象教員への制度の周知を図りますため、県下全ての国・公・私立学校園に「免許更新制のしくみ」についての冊子を配布し、更新講習の受講期限や更新手続等制度の周知を図ってきました。

 また、教員養成課程を有する大学等36団体で構成をいたします教員免許更新講習連絡協議会を設置し、地区別、教科別の対象教員数を情報提供した上で必要な講習会の確保の要請を行ってきました。

 さらに、学校等が実施した予備講習の内容を把握し、学校現場での教育実践に役立つ内容や、多様な校種、教科に対応した内容となりますよう、講習内容の改善について10月9日に開催した連絡協議会において要請をいたしたところであります。

 今後、更新講習の本格実施に向け、対象教員に対し、県内大学等における講習時間、内容等のより詳細な情報提供を行いますとともに、講習開設者であります大学等に対しまして、個別に訪問し、県内教員の講習機会の拡大や内容の充実を要請いたしますなど、より一層効果的な更新制度の体制整備に努め、免許更新制が目指します、最新の知識技能を身につけ自信と誇りを持って教壇に立ち得る教員の育成に努めてまいります。

Q

 ただ今答弁がありましたが、教員免許更新制度の本来あるべき姿を実現するために、県教育委員会として、教育の根幹をなす教員免許法の施行については、法の主旨を確実に実現し、制度の充実を図るためにも、兵庫の実態を踏まえ、もう1年試行(こころみ)を実施することを文部科学省に求めて行くことも必要と思いますが、再度考えを伺います。

A (答弁:吉本教育長)

 県といたしましては、来年度からきっちりとした監修ができますよう、格段の努力をはらっておるところでございますので、そのような遺漏がでるような講習にならないように努めてまいりたいと思っております。

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Q

8 県警本部長の現場重視の姿勢と施策への反映について

 
県警本部長におかれては、昨年8月の就任以来、県下すべての警察署をはじめ、交番・駐在所、さらに各地の祭り等の雑踏警備を視察するなど、常に現場重視の姿勢を貫き、県下各地の実態と課題の把握に努めておられると伺っています。

 また、本部長が就任するのを待っていたかのように、新たな行財政構造改革の取り組みが本格化しましたが、昨年には、高齢者の交通事故死者数が全国ワースト1位となり、10月には加古川市で痛ましい女児殺害事件が発生しました。今年に入ってからも還付金等詐欺をはじめとした振り込め詐欺が多発し、また若手警察官の不祥事が相次ぐなど、県警には多くの課題が山積しています。

 この度の行財政構造改革では、県民の体感治安が悪化する中、交番相談員の減や、一般事務費、管理費、信号機や道路標識など交通安全施設整備費の県単独分の減など、一般行政部門と同様の予算削減がなされ、さらに給与カットに加え、事務職員については、平成30年度までに、一般行政類似部門の職員の概ね3割、約110人の定員削減に取り組むことになりました。

 県警本部では、「現場の執行力にかかる経費は削減していない。」ことを繰り返し説明しておられるところですが、厳しい行革の中にあって、地域の安全と安心の確保に日々取り組んでいる現場の警察官の士気とモラルの低下が懸念されるところです。

 かつて本部長は、警備部長、地域部長として本県に勤務された経験がありますが、地域部長時代には、警察活動の基盤が「地域」にあり、「住民」のニーズを知らずして警察活動はあり得ないという信念から、地域住民の意見及び要望を踏まえた地域警察活動を推進するとともに、交番及び駐在所における問題解決能力の強化を図るため、交番・駐在所で構成するブロック単位に「地域ふれあいの会」を設置したと伺っており、これは、現場の課題を施策に反映した一つの事例ではないかと思われます。

 また、平成17年4月に発生したJR福知山線事故の捜査に当たっては、事故当時東京勤務でありましたが、事故後に、兵庫に立ち寄った際、現場を訪問した経験から、当時の思いを踏まえながら捜査の指揮に当たり、捜査本部等に何回も足を運び、捜査本部員から話を聞き、資料も見る、という形で先般の送検に至ったというエピソードも伺っています。

 本部長の常に現場を重視する姿勢については、今後も継続されると期待していますが、県下の現場をくまなく視察しその課題や問題点をどのように捉えているのか、また、県民の安全と安心を守るために、第一線の警察官の士気をいかに高め、現場の課題等をいかにして施策に反映していくつもりなのか、本部長の考え方を伺います。

A

 ご質問の中で、加古川市におけます女児殺人事件等にも触れられましたが、この事件は未解決のまま1年が過ぎ、誠に残念に思っております。ご遺族のご心境いかばかりかと思いますとともに、地域住民の方々の不安を一日でも早く取り除くために、捜査本部員一同懸命な捜査に努めておりまして、私も先般、捜査本部を督励するとともに、被害現場にお参りをさせていただきまして、必ず検挙するとの思いを一層強くしているところでございます。

 さて、この加古川事件をはじめ、ご指摘のとおり、県内の治安情勢は誠に厳しいものがあります。さらに、行財政構造改革への取り組み、大量退職・大量採用期における執行力の維持・向上への対応など課題が山積しており、現場の士気や執行力の低下をいかに防ぐかということに向けて、例えば、警察署長等幹部が先頭に立つ姿を見せることによる士気の鼓舞、豊富な経験と知識を有するOBの再任用や伝承教養による若手警察官の執行力の向上など様々な方策に取り組んでいるところであります。

 このような中、私は常々、「基本は現場にある」ということを言い続けております。我々警察の原点は現場でありまして、それは第一線である警察署、そしてさらには交番・駐在所の活動であると考えております。

 ご指摘のとおり、「地域ふれあいの会」の設置やJRの尼崎の脱線事故での被害者支援方策の決定等に関しましても、この様な考え方を基本としたものでありまして、このことについてご評価いただきまして感謝申し上げます。

 今後とも、時間の許す限り第一線の巡視を継続しまして、第一線における勤務上の苦労や問題点、課題、また、地域住民のニーズなどを把握するとともに、メリハリの効いた勤務評価や時宜を得た表彰等によりまして、一層の職員の士気高揚に努めてまいりたいと考えております。

 その際は、職員一人ひとりに対しまして、幹部や地域住民が、みなさんの仕事ぶりというものをしっかり見ているという意識を持たせる一方で、幹部も部下職員等から常に見られているんだという自覚の下に、率先垂範、職務に取組み、結果としまして活力溢れ、一体感のある組織運営が出来るように心掛けております。

 また、兵庫県での2回目の勤務ということや今申し上げました現場巡視を通じ感じますことは、正に兵庫は日本の縮図と言われていますけども、この広大な県土にありましては、事件・事故、警察事象もそうですが、かなり生活の様式でありますとか環境というものが異なっておりまして、したがいまして、私どもの警察事象も、かなり違うというふうに思っております。

 したがいまして、警察本部から一律の指示や指導では、必ずしも、現場の実態に合わないおそれがあるんではないかと考えておりまして、その意味でも、私をはじめ警察本部の幹部が現場の状況を充分に把握した上で、組織体制のあり方や施策の立案・検証、そして警察署運営の指導等に生かしていくことが大変重要であると認識しております。

 なお現場の執行力にかかる経費は削減しないという基本方針は今後も堅持しつつ、県の予算の確保に努めてまいる所存であります。

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最後に

 最後に、平成19年度一般会計の決算では、予備費を除いても、51億円余りの不用額が生じており、このような不用額については根拠を明確化することが必要と考えます。

 県民のサービスを図るために予算化された諸事業が未実施となった場合には、その根拠を示し、今後の予算編成に活かしていくことが重要です。

 「予算節約インセンティブ制度」が導入されるとの報道もありましたが、従来からの予算使い切りの慣行の見直しに積極的に取り組み、無駄の徹底した排除に努めることを求めておきます。

 また、県営住宅事業特別会計の決算では、未収金対策や空き駐車場対策への取り組みが不十分と考えますので、より一層の踏み込んだ対策を講じられるよう要望いたしまして、私からの発言を終わらせていただきます。

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